退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【読書感想】八木亜希子『その気持ちを伝えるために』

フジテレビの看板女子アナだった八木亜希子さんのキャリアをたどりながら、周りの人たちからの「言葉」から得られた決断と気付きを綴っていく本です。

フジテレビ入社から、既に25年。みんな歳を取ったわけですが、さすがにお綺麗です。勝ち組オーラがまぶしい。私のように表紙に惹かれて手に取った人も多いのではないでしょうか。

その気持ちを伝えるために

その気持ちを伝えるために

本書は下世話な暴露本ではなく、いわば優等生向けで当たり障りのない内容です。さらに言えばコヴィーの『7つ習慣』のようなビジネス書によくある啓蒙書的な味付けで、説教臭いと言えなくもありません。不純な気持ちで本を選んだ人は、いろいろ期待はずれだったかもしれません。

女子アナブームを知るおっさん世代としては、同期の女性アナウンサー2人(河野景子有賀さつき)とともに、「花の三人娘」が登場するあたりが懐かしい。当時の写真も載っています。そして女子アナとしてのキャリアを積んでいく部分は、当時のテレビ番組や著名人が登場しているので、すいすいと読み進められます。私はあまり民放は見ないけれど、やはりテレビの力は絶大だなと思った次第。

読後、女子アナとして話題も面白かったのですが、もっと紙面を割いてほしかったと思ったのは、次の2つです。米国に滞在していたときの話と、映画『みんなのいえ』や朝ドラ『あまちゃん』に出演したときの話。とくに米国の大学院に進むあたりの話は興味ありますね。ESLGREの話題とか……。

また、巻頭近くに周囲の人たちの「言葉」を書き留めていたというシステム手帳(ファイロックスですかね)の写真が載っていました。内容を見せるのは支障があるかもしれませんが、ノート術みたいのがあれば紹介してほしかったです。どういうノートの取り方をしているのか、リフィルの管理をどうしていたのかなど関心があります。

まあ輝かしいキャリアですが、女子大生など若い世代の女性はどのように評価するのでしょう。やはり憧れの対象なのでしょうか。ちょっと気になるところです。