退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『恐竜・怪鳥の伝説』(1977) / 東映版B級特撮パニック映画…これは恥ずかしい

新文芸坐の《追悼 渡瀬恒彦 銀幕に刻まれた不死身の役者魂》という企画で、映画『恐竜・怪鳥の伝説』(1977年、監督:倉田準二)を鑑賞。

映画『ジョーズ』の大ヒットを受けて東映が制作した特撮パニック映画。水中から引き上がると人体の下半身がないという衝撃的なシーンは『ジョーズ』の丸パクリ。さらにネッシーなどの未確認動物ブームを背景して企画されたという。ちなみに本作ではネス湖富士五湖の西湖に置き換わっている。便乗企画もここまでくると清々しい。

ニュースで「石の卵」という言葉を聞いた芹沢(渡瀬恒彦)は富士に向かう。そこには昔の恋人の亜希子(沢野火子)も水中カメラマンとして撮影のため訪れていた。湖では怪奇事件が相次いで起こり周囲は恐怖に包まれる。そして恐竜がついに姿をみせる。芹沢と亜希子が水中に潜るなか、対策本部は湖に機雷を投下。ふたりはトンネルを見つけ逃げ込むが、そこで巨大生物と遭遇。やっとのことで地上に出た二人は恐竜と怪鳥の戦いを目撃する。すると突然、富士山が噴火を起こし大地震が起こる。大地に亀裂が走り巨大生物は亀裂の飲み込まえる。


The Legend Of Dinosaurs And Monster Birds (1977) - Trailer // 恐竜・怪鳥の伝説

まあこんな話だが、パクリ映画なのでストーリーはどうでもいいというか苦労の跡がしのばれるというか、気の毒になるほど。どのように映画を終わらせるのかと思ったら、亀裂に落ちそうになる亜希子の手を芹沢のがようやく掴むシーンで、無理やりドラマチックな劇伴で盛り上げて終る。もうヤケなのかと思うエンディングで軽くのけぞる。

見どころと言えば、ウェットスーツ姿のヒロイン・沢野火子がちょっとエロいのはよかった。しかし脱ぐわけでもなく渡瀬との軽いラブシーンを見せるぐらいなのは残念。少しお色気成分を追加してほしかった。

惜しいと言えば、空撮や水中撮影をふんだんに使っていてなかなか豪華な映画なのだが、今回上映されたフィルムは劣化していてひどく退色した映像だったのは残念。いまとなっては、この映画の見どころはストーリーに関係ない空撮を中心としたロケ映像のはずだが、なんとも惜しい。

だだし退色しているわりにはトビなどはなくフィルムの傷みはないようだったので、上映機会があまりないうちに経年変化で退色したのだろうかと想像するが、内容を考えると仕方ないかもしれない。

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