100周年を迎えた宝塚歌劇の歴史を、朝日新聞やアサヒグラフなどの報道で振り返る一冊。蜷川実花さんのカバー写真も鮮やかである。この本はOGのインタビュー記事もあるが、やはり読みどころは「朝日新聞で見る宝塚歌劇の100年」であろう。とくに印象に残った記事が2つある。
- 作者:
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2014/03/20
- メディア: 単行本
ひとつは、1937年の日独伊防共協定の調印を祝して、文化交歓の一環として宝塚少女歌劇団(当時)がイタリア、ドイツへ派遣を伝える記事である。これが宝塚歌劇初の海外公演とのこと。もちろん船での渡欧である。記事には「振袖使節」の見出しが踊り、ハーケンクロイツが写っている写真もある。当時、欧州でどのような評価を受けたのか興味は尽きない。
もうひとつは、1995年に近畿地方を襲った阪神大震災。本拠地・宝塚大劇場も大きな被害を受け、公演中だった公演は中止になったという。「復興へ、泣くのは一日で十分」という見出しで、「花のみち」の被災状況を伝える記事はいま読んでも心が熱くなる。
またOGインタビューには、我らのマリーこと花總まりが一路真輝とともに登場しているのもうれしい。だが現役生が登場しないのはやや残念。100周年を迎えた時点のスターたちの姿も紙面に切り取ってみてもよかったのではないか。