退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『嵐が丘』(1939) / エミリー・ブロンテの長編小説の映画化作品

Amazonプライム・ビデオで映画『嵐が丘』(1939年、監督:ウィリアム・ワイラー)を鑑賞。原作はエミリー・ブロンテの同名小説。学生時代に読破しようとして挫折した苦い記憶がある長編である。この小説は何度も映像化されているが、今回はワンクリックで手近で見ることができたウィリアム・ワイラー版を見てみた。白黒映画。

人里離れた田舎に「嵐が丘」と呼ばれる古い館があり、そこに養子として引き取られたヒースクリフローレンス・オリヴィエ)は、ジプシーの血を引く野生児だった。館の娘キャシー(マール・オベロン)と知り合い次第に惹かれていく。愛は身分の差を越えるはずだったが、年を重ねていくうちにキャシーは裕福さや上流階級の生活に憧れ、ついに地元の名家リントンの息子エドガー(デヴィッド・ニーヴン)と結婚していまう。父の死後、エドガーはヒースクリフを追い出すが、後にアメリカに渡り成功したヒースクリフが戻ってきて……。


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めちゃくちゃ長く複雑な原作を上手くまとめたなというのが第一印象。きちんと映画になっているところがすごい。ワイラーの力量であろう。モノクロ映像にも味わいがある。

物語の基本はヒースクリフの復讐譚だが、ヒースクリフとキャッシーの許されない愛の物語とも解釈できる演出になっている。しかし本作でのキャッシーは上昇志向が強くひどく打算的に思えるが……。

こうしたストーリーなら宝塚歌劇でもいけそうだと思ったが、すでに何度か舞台化されて上演されていた。1997年に雪組時代の和央ようかが宝塚バウホール公演でヒースクリフを演じていたのは始めて知った。映像が残っているのならぜひ見てみたい。

余談だが、今回「嵐が丘」を見ようと思ったのは、現在再放送中の昼ドラ『愛の嵐』(1986年)を見ていて、原作をチェックしたくなったからだ。この『愛の嵐』では戦前の山梨県に舞台を置き換えて翻案されている。キャッシーに相当する役を田中美佐子ヒースクリフに相当する役を渡辺裕之が演じている。ドラマを終わったら対比してみたい。