先日、角川シネマ新宿で開催中の〈大雷蔵祭〉で「薄桜記」(1959年、森一生)を観る。赤穂討ち入りを背景に、赤穂浪士・堀部安兵衛(勝新太郎)と丹下典膳(市川雷蔵)の友情と悲恋を描く。討ち入りの時季にタイムリーに鑑賞できた。
- 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
- 発売日: 2004/08/27
- メディア: DVD
- クリック: 45回
- この商品を含むブログ (25件) を見る
時代劇としては新鮮に感じたが、突き詰めれば過剰なメロドラマといえる。途中、シリアスなのか喜劇なのか観ていて悩む展開はどうかと思うが、終盤の壮絶な殺陣からラストに至るまでの映像美は特筆できる。とくに雪の中の頭上からのショットは圧巻。
だが、一連の事件の対処方法については、悲劇を回避できる、より適切な事後処理の方策がいくつもあったのではとないか、と現在の視点からは思える。価値観の変化と言うのはたやすいが、主人公自ら破滅に向かっているとしか思えないストーリーは陳腐さを拭えない。