欲しがらない生き方 -高等遊民のすすめ- (角川oneテーマ21 B 121)
- 作者: 岬龍一郎
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2009/06/10
- メディア: 新書
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「高等遊民」とういう語に惹かれて手にとってみた。もちろん漱石が言うところの明治大正期の「高等遊民」をすすめるのではなく、教養を磨いて世俗的欲望や多忙から解放されて、独自のオリジナル生活を楽しもうとする提言らしい。
確かに人間いつ死ぬかわからないし、定年過ぎてから何かを始めようとしても遅いということもあるだろう。俗世を捨てると言っても、世間との関係を一切絶つのではなく、「半隠棲」というのもいいかもしれない。ブログのプロフィールには「人生を、<半分>降りたい人」などと書いているが、何やら通じるものがあるかもしれない。
高等遊民の先達として、ヘンリー・デイヴィッド・ソローと橘曙覧(たちばなあけみ)を挙げている。前者は『森の生活』(Walden: or, the Life in the Wood)の著者として知られる19世紀のアメリカの作家であるが、後者は幕末の歌人らしいが浅学にして知らなかった。クリントン大統領のスピーチで歌が引用されて注目されたとある。
さて著者は団塊の先頭集団に属する世代のようだが、隠れ家と称して別宅を持つなど、なかなかリッチであることが窺える。もちろん働いて得た対価であろうから構わないが、ワーキングプアが社会問題として取り上げる世相においては、世代間格差を感じさせないわけではない。やはり団塊世代は金持ちなのだろうか。
それで高等遊民の老後はどんなものかというと、第四章にその一端が書かれている。仲間と隠れ家に集まって映画鑑賞、トリヴィアを磨く勉強家か――。まあいいけど。この章では45歳が第二の人生の分岐点としている、ここは肝に銘じておこうか。
映画鑑賞仲間と選んだ「戦後時代劇ベストテン」なるリストが載っていたので、メモしておく。私は8本鑑賞済だった。