囲碁の仲邑菫(なかむらすみれ)女流棋聖(14)が、日本棋院から韓国棋院への移籍手続きを進めていることが報じられた。
日本棋院は報道内容は事実だと認めており、移籍を認める方針だという。今後韓国棋院が仲邑の移籍希望を認めれば、客員棋士として韓国で活動することになる。
仲邑は2019年4月、日本棋院が「世界一になる逸材」として、特例の採用制度によりプロ採用された。いわば日本棋院は鳴り物入りで最年少プロ棋士として彼女を迎えたことになる。
当時私は「どうせ客寄せパンダだろ」「これで弱かったらどうするんだろう」などと思ったものだ。その心配はまったくの杞憂に終わり、今年2月には初タイトルの女流棋聖を獲得するなどこれまで十分すぎる実績を積み重ねている。
今後トップ棋士として日本の棋界で活躍が期待されるなかで、今回の降って湧いた韓国棋院への移籍報道に驚いた囲碁ファンも多いだろう。
一応「さらなる棋力向上を目指す」というのが理由とされており、本人がこう希望したら誰も止めることはできない。たしかに、いまや韓国は世界屈指の強豪国であり、そのなかで研鑽に励みたいというのは、高みを目指す棋士としては納得できる。簡単にタイトルを穫れてしまう日本がヌルすぎるということかもしれない。
一方、日本棋院のサポートは十分だったのかと、という疑念もある。仲邑側に何か不満はなかったのだろうか。まあ、そうしたことは世間に漏れてこないだろうが、せっかくの「金の卵」が海外に流出するいう事態は深刻に受け止めるべきだろう。