旧統一教会問題の影響により、9月27日に開催される安倍晋三元首相の「国葬」への反対の声が大きくなっている。岸田文雄首相は8日の衆参両院での閉会中審査で国葬決定の経緯や経費などについて説明した。以前より、「詳しく」説明すると表明していたことがようやく実行された。
これだけ引き伸ばしてのだから何か新しい論点を繰り出すかと思ったが、内容は従来の見解の繰り返しで説得力に欠けた。首相はあくまでも低姿勢で国民の理解を求める姿勢を見せたが、これで新たに説得される人はいないだろう。
そもそも「国葬」を行う理由の最初に「長期政権」を挙げていたが、「長ければいいんかい」と私などは思ってしまう。
本来ならば「国葬法」などを制定してきちんと対応するべきだが、閣議決定でお手軽に決めてしまうところが度し難い。閣議決定で内閣でやるのだから、せいぜいが「内閣葬」あるいは「政府葬」だろうと思うが、今回の答弁では、岸田首相はそれも否定してあくまで「国葬」を強行する姿勢を崩さなかった。
せめて閣議決定の直後に国会で説明していれば、状況は少し変わっていたかもしれない。
これだけ反対の声が強いなかで「国葬」を強行しれば、支持率低下は避けられず、今後の政権運営に支障をきたす懸念も大きい。
また「国葬」という言葉もあやしい。政府側は一貫して「国葬儀」という語を使っているが、NHKなど括弧付きの「国葬」という表記を使っている。このあたりからも政府側のごまかしが感じ取れる。
それにしても閣議決定で何でも決めてしまった安倍元首相の「国葬」が、これほどまでに議論を巻き起こすとは………。言葉を選ばず言えば、因果応報と言うことができよう。