『大家さんと僕』の著者が実の父を描く、ほのぼの感動の家族漫画。
以前『大家さんと僕』を読んで感銘を受けていたので、矢部太郎の新刊ということで見つけて読んでみた。全編オールカラーの豪華な本。
絵本作家の父と過ごした少年時代を描くほのぼのとしたコミックエッセイ。自転車に乗る練習したり、縄文土器をつくるあたりは、私も似たような思い出があるなあ、としんみり読んだ。
興味深いのは、父親が子どもたちのために描いていた絵日記のようなノートを送ってもらうところ。姉の分が圧倒的に多いのは、最初の子どもだから仕方ないけど、そのなかに筆者が誕生の場面がある。家族で旅行に行くように出産のために病院に向かうエピソードがいい。
ただし青年期の描写はほとんどないのは惜しい。父との対立は多かれ少なかれ大人になる上で避けられないのではないかと思うが、そうしたエピソードも読みたかった。
まあ深刻な家族問題を描くと“ほのぼの家族"というコンセプトが崩れてしまうのだろうが、いずれ筆者によるブラック・コメディのようなエッセイコミックも読んでみたい。