退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

『ユリイカ 2018年9月号 特集=濱口竜介』を読む

映画『ドライブ・マイ・カー』(2021年)の成功により、一躍マスコミの注目を集めた濱口竜介監督。もちろん唐突に世界の檜舞台に立つようになったわけではなく、以前より日本国外の主要映画祭で受賞を重ねていた。

今回ふと思いたって手に取ったのは、『ユリイカ』(2018年9月号)の濱口竜介特集。市井の図書館では古い雑誌はどんどん破棄されるのだが、とある区立図書館では『ユリイカ』はムック扱いのせいか、資料価値があると考えられいるのか長期保存されていて助かる。

この特集が出たのは、監督初の商業映画『寝ても覚めても』(2018年)が公開された時期で、表紙は主演・東出昌大、ヒロイン・唐田えりかのふたり。

なかなかいいスチル写真だと思うが、このふたりの不倫騒動が炎上して、映画どころじゃなくなったのは周知のとおり。ニュートラルな気持ちで見ることができなくなった人も多いのではないか。


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さて、このユリイカの特集であるが、いつもながら膨大な活字の情報量に圧倒される。そのなかで、濱口竜介蓮實重彦との対談はとくに読み応えがあった。映画『寝ても覚めても』の細かい点に蓮實さんがダメ出しをして、それに応対する監督の言動が面白い。

かつて立教大学で教鞭をとっていた蓮實重彦の薫陶を受けた学生が何人も映画監督になっていることはよく知られている。ゼミもこのような感じだったのだろうかと思いを馳せてみる。

ちなみに映画『寝ても覚めても』は現在Amazonプライム・ビデオで見ることできる。興味があればどうぞ。