退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『天気の子』(2019) / 青春純愛物語は気に入らないが圧倒的な映像の力はすごい

アニメ映画『天気の子』(2019年、監督・脚本:新海誠)をDVDで鑑賞。青春純愛ドラマのなかに中二病の要素が混ざっている相変わらず変なアニメ作品。

離島から東京に家出してきた少年・帆高(声:醍醐虎汰朗)は、世間の冷たさに打ちひしがれるなか、バイト先に内緒でハンバーガーを差し入れしてくれた少女・陽菜(声:森七菜)を出会う。帆高はフェリーで知り合ったライターの須賀(声: 小栗旬)をたずねて、住み込みで働き始める。帆高はある事件で陽菜に「晴れ女」としての能力があることを知り、商売を始めるが……。


www.youtube.com

苦手なタイプの映画だが、相変わらず映像美は圧倒的。東京民としては見慣れた景色がアニメのなかに登場するのは楽しい。とくに代々木駅前の廃ビル(代々木会館)は、かつて代々木周辺をのたくっていた私にとって思い出深い。その一点でこの作品に加点したい。建物の内部には入ったことはないが、実際に神社があったのだろうか……。その廃ビルもついに取り壊されて、通りから山手線の高架が見通せるようになった。それを目の当たりにした衝撃は忘れられない。

映画としては腑に落ちない点も多い。ファンタジーなので細かいことを言うのも野暮なのだろうが、帆高がなぜ家出してきたのかの説明がないのが最後まで引っかかった。そして島に戻されても彼の生活についての描写はほとんどない。そして国立の東京農工大学に進学するため再び上京して、陽菜と再会する……。まあいいけど、あまりにもリアリティに欠ける。

あと陽菜救出後に降り始めた雨は2年半の間やまず、荒川や江戸川流域の下町地域が水没するシーンが出てくる。それほどの降雨で影響がその程度で済むのかわからないが、結構適当だなと思った。まあ私の住んでるところは標高30m近くあるから大丈夫かななどと思ったりもした。

本作は、「大人はわかってくれない」的な中二病風味のする直球の青春純愛物語である。監督はこういうのが好きなのだろうが、いまの時代は大衆受けはしないと思って見ていたが、興行成績は絶好調だった。この映画が大衆に受け入れられるという事実に驚いた。令和の「ラピュタ」のような映画としてヒットしたのかもしれないが、映画としての面白みには欠ける。とういうか苦手なタイプの映画である。

余談だが、DVDに新海誠作品の予告編をまとめた特典映像が付いていた。新海誠作品を時系列で追いかけるのに役立ちそうだ。お値打ちです。

【店舗限定特典あり】「天気の子」DVDスタンダード・エディション (ミニキャラクッション2個セット付き(陽菜&帆高))