退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『カメラを止めるな!』(2017) / 愛すべき低予算インディーズ映画

いまさらながらDVDで映画『カメラを止めるな!』(2017年、脚本・監督:上田慎一郎)を鑑賞。

公開当時、ゾンビ映画がどうも苦手なのでスルーしていたが、日々面白いという声が大きくなった。周りに勧められたが、観る機会を逸しつづけていた。そしてついには地上波で放送されるほどの話題作に……。ここまで行くと逆に見る気が失せて、結局見ずじまいになっていた。しかし今回、ふとしたことから見ることになってしまった。

郊外のいわくつきの廃墟で、とあるB級ゾンビドラマの撮影が行われていた。しかし撮影は難航。ヒロインの逢花(秋山ゆずき)の演技に、監督の日暮(濱津隆之)がなかなかOKを出さないのだ。監督のあまりの執拗さに、逢花と恋人役の若手人気男優、藤丸(藤村拓矢)、そしてベテランのメイク晴美(しゅはまはるみ)は愚痴り始めるが……。


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2段構えのユニークな構成が秀逸。前半は作中劇であるB級ホラーテイストのゾンビドラマ、そして後半はそのドラマ制作に携わる人々をコメディタッチで描く疑似メイキングフィルム。

ここにはネタバレは書かないが、実は話題作ということもあり、見る前からどんどんと「情報」が入ってきた。困ったものだ。この作品は最初に観るときが勝負である。できれば白紙の状態で鑑賞したかった……。その意味では公開時に見ておくべき作品だったかもしれない。

この映画は、劇中のスタッフが撮影時に臨機応変というか行き当たりばったりで様々な困難を乗り越えていく様子が描かれる。これとは対照的に、作品自体は緻密に計算されつくされて制作されている。その二重性が面白い。

ゾンビ映画が苦手な私のような人も、ぜひ鑑賞をおすすめしたい。低予算インディーズのひとつの到達点がここにある。映画好きがつくった作品だとうことも伝わってくる。話題になるだけのことはある。何事も食わず嫌いはよくないと反省した次第。

カメラを止めるな!