退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『ハワイの若大将』(1963) / 加山雄三主演・若大将シリーズ第4作

DVDで映画『ハワイの若大将』(1963年、監督:福田純)を鑑賞。若大将シリーズの第4作。主演はもちろん加山雄三

京南大学ヨット部のキャプテン・若大将こと田沼雄一(加山雄三)は、練習中に衝突事故を起こし、ヨットの修理費を稼ぐためにダンスパーティーを企画する。しかしパーティー券は思ったように売れなかった。これを資金面で救ったのが青大将こと石山新次郎(田中邦衛)だった。

その後、青大将が前期試験で若大将に答案を見せてほしいの泣きつく。ダンスパーティーの件で負い目のあった若大将は、しぶしぶ答案を見せたが、不正を教授に見つかりふたりは無期停学になってしまう。青大将は停学をよいことにハワイに渡航して遊び呆ける始末。若大将は、青大将の父親に息子を連れ戻すように頼まれてハワイに向かうが……。


www.youtube.com

海外旅行が高嶺の花だった時代に、大学生がハワイに行くという設定が刺さったのだろう。ハワイの風景がまぶしい。ハワイの様子も随分と変わったと思う人も多いのではないか。

舞台は海外でもストーリーはいつもの「若大将」なので安心して見られる、いつものように加山雄三の歌を堪能できる。そのなかの「ラブリー・フラ・ガール」という曲で、加山と澄ちゃんこと星由里子とのデュエットは必聴。

私は若い頃、「若大将」シリーズはどこが面白いのかとわからず、ほとんど見ていなかった。若大将が一流大学に通い、スポーツ万能で音楽の才にも恵まれ、当然のようにモテる。男目線では、この主人公はいけ好かないやつだと思っていたからだ。

しかし最近いいなと思いながら見るようになった。若大将もいろいろ大変だなぁと思うようになったこともある。さらにシリーズを何本か見ていいるうちに、キャラクターが馴染んできて、シリーズ共通の「お約束」というかお決まりのパターンが見えてきたりしたこともある。「寅さん」と同様、シリーズものはこういうものだろう。

またわたしはリアルタイムの世代ではないが、上昇志向の当時の日本が感じられるのも、いま惹きつける理由かもしれない。実際はいまよりずっと貧しくて大変な時代だったのだろうが、それでも勢いが感じられる時代はうらやましい。

さて本作ではDVDのオーディオコメンタリーに星由里子が出演していることも加点したい。収録時期は不明だが、おきゃんな感じで当時の思い出を語っているのはすばらしい。

オーディオコメンタリーが収録されているのは、古い東宝映画のDVDの魅力。映画だけ見ていてもそれほどでもない作品でもオーディオコメンタリー付きで見ると楽しめることはよくある。資料としても貴重。オススメです。