退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『アルプスの若大将』(1966) / 若大将シリーズの第7弾

映画『アルプスの若大将』(1966年、監督:古沢憲吾)をDVDで鑑賞。先日、名画座で若大将二本立てを見て若大将に興味を持ち手にとってみる。若大将シリーズの第7弾。

京南大学建築学科の田沼(加山雄三)は、論文が認められ、教授とともに招待旅行で渡欧する。なぜか青大将(田中邦衛)も一緒だ。ジュネーブで余暇を利用してマッターホルンの麓までスキーに出かけるが、そこで同じく休暇に来ていたパンナムの現地社員・澄子(星由里子)と知り合い、ローマ市内でデートを楽しむが……。


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ヨーロッパ・ロケということで、そこまでやるかというほど海外の風景を撮りまくっている。この時代はヨーロッパ旅行が異次元だったのだろう。当時のヨーロッパの街並みは興味深いものの、旅番組のような構図が多くてややうんざりする。

今回のテーマはスキー。加山は国体にスキーで出演したほどの腕前で、本作でもその自慢の腕を遺憾なく発揮されている。スキーの滑降シーンをスタートからゴールまでを追う空撮ワンショットがカッコいい。

あまりにも加山がスーパーマン然として、ひとつまちがうと嫌味に感じるところだが、そうしたところが微塵もないキャラクターというのはあらためて素晴らしいものだ。

ただし映画としては、フランスから青大将を訪ねてリシェンヌ(イーデス・ハンソン)が来日して、田能久に下宿することにあるエピソードもあったが、せっかくのイーデス・ハンソンを劇中で活かしきれてないのはは惜しい。

澄子のワガママぶりも度が過ぎていて、「この性格はヒロインとしてどうなのよ」とも思ってしまう。そして青大将は絶好調でイキがいい。シリーズもここまでくると雛形が決まっていて安心して見ていられる。

DVDのオーディオコメンタリーでは、ラサール石井小倉久寛が好き勝手に話している。途中から本作に出演している若林映子(ボンドガール!)が合流して撮影当時のエピソードを披露していて楽しい。オーディオコメンタリーが付いている東宝の旧作DVDはポイントが高い。