田村正和さんの追悼番組「総理と呼ばないで」(全11話)が放送された。録画して少しずつ見ていたが、週末ようやく最終回まで見終わった。1997年にフジテレビで放送されたテレビドラマ。主演は田村正和。脚本は三谷幸喜。
内閣支持率1.8%という低い数字に内閣総理大臣(田村正和)は悩んでいた。実現したい政策もなく、彼の関心は「在任最短記録更新だけは避けたい」ということだけだった。妻(鈴木保奈美)との夫婦仲は冷え切り、前妻との娘(佐藤藍子)は、浪人しているにもかかわらずアングラ劇団で芝居に熱中するありさま。いまだに官房長官も決まらず人事は混迷していた。娘の家庭教師候補の大学院生(筒井道隆)を官房長官に抜擢する賭けに出るが……。
“ある架空の国”の総理官邸を舞台にしているが、重厚な政治ドラマではなく総理とその側近たちの混乱ぶりを描くコメディ。政治の駆け引きとか権力争いとは無縁のほのぼのした雰囲気のドラマ。
最終回はこんな話。スキャンダルを隠すためマスコミに反社会的勢力から調達した金が流れたことが発覚し、政局が紛糾する。総理はこの件に関知しておらず、首席補佐官(小林勝也)の独断によるものだった。しかし総理は責任を取って内閣総辞職し、国会議員も辞して国に帰ることになる。首相官邸の引越しでの騒動。そして総理が官邸スタッフに尊敬をもって送り出される。官邸使用人頭(小松政夫)が完成しなかった総理の肖像画を見つめるのだった。
演劇のようなテイストの三谷幸喜らしいテレビドラマ。視聴率は振るわなかったが、「古畑任三郎」の例でもわかるように、田村正和と三谷幸喜との相性は悪くない。コメディにおける田村正和の魅力をうまく引き出している。追悼としては悪くない。