DVDで映画『るろうに剣心』(2012年、監督:大友啓史)を鑑賞。和月伸宏による人気コミック「るろうに剣心~明治剣客浪漫譚~」の実写映画化第1作。主演は佐藤健。
動乱の幕末。最強の暗殺者と恐れられ、〈人斬り抜刀斎〉と呼ばれた男がいた。維新を経て10年、いまだに混乱が続くなか、斬れない刀=逆刃刀を振るって人々を助ける、流浪人・緋村剣心の姿があった。決して人を殺めないという「不殺の近い」を立てた抜刀斎であった。惨殺現場に抜刀斎の名が記された斬奸状が残されていたことから、事件に巻きこまれていくが……。
コミックの実写化は、観客に原作のイメージがあるためむずかしいとされる。しかし、私は本作についてはコミックやアニメにほとんど接する機会がなかったので、単純にアクション映画として楽しめた。いい歳して「ござる」「おろ」とか言う主人公はどうかと思うが、コミック原作なので仕方ない。
剣士の話だが日本映画の伝統のチャンバラではなく、無国籍な現代的なアクションとなっている。これも時代の流れだろう。時代劇ファンとしてはさみしいが、海外市場も視野に入れるとこうなるのだろう。悪くない。
アクション映画としては及第点だが、ドラマとしては情感に乏しい。カットが目まぐるしく変わる作風は、テンポがいいとも言えるが、私には落ち着きがないように思えた。俳優たちの芝居をじっくり見たかった。
それでも佐藤健と武井咲のコンビの相性はいいし、今後の展開が楽しみに思わせるのは実写版第1作としては成功だろう。現在「るろうに剣心」シリーズ完結編が映画館で上映されているが、長期に渡り何作も作られているのはそれなりに理由があるようだ。