タイトルに惹かれて手に取ってみた。日本では、部活における指導者の体罰や部活内のいじめなど、さまざまな問題が生じている。加えて部活の指導を行う先生たちの労働環境も悪化し、学校が「ブラック職場」とされる事態となっている。
こうした日本に対して、ドイツには部活がないという。この本を読む前から、ドイツにはスポーツクラブなるものがあり、スポーツは学校単位ではなく地域コミュニティ内で行われいるということぐらいは聞いたことはあった。
この本では、ドイツのスポーツクラブについて、NPO(フェライン:Vereinという)として運営されていることから始まり、さまざまな切り口から詳しく說明されている。
ちょっと面白かったことをいくつか列挙する。
- ドイツの学校は半日で終わる(半日モデル)
- ドイツはNPO活動が盛んである
- ドイツのタメ口カルチャー(Sie と du)
- 日本は勝つための部活、ドイツは趣味として楽しむためのスポーツ
- 日本にも戦前は「スポーツクラブ」があった
- ドイツには「スポーツバカ」(脳筋)がいない
「だからスポーツが長く続けられる」など、「だから〇〇」で統一された章立ては洒落ているし、文章も読みやすくスイスイと読み終えた。この本には、筆者の住む地方都市であるエアランゲン市の事情を基にしている。ではベルリンやハンブルクのような大都市の事情はどうなのだろう。この本にあるような、地域コミュニティが健在なのだろうか。
私が東京に住んでいることもあり、そんなことを思いながら読み終えた。日本とは社会背景などが違いすぎるので、そのまま日本に輸入できるはずもないが、日本の諸問題を解決するヒントにはなるだろう。
日本の部活はちょっとおかしいと思っている人に広くオススメします。