DVDを借りて映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』(原題:Ex Libris: The New York Public Library、2017年)を鑑賞。フレデリック・ワイズマン監督によるニューヨーク公共図書館に関するドキュメンタリー映画。上映時間205分の長尺で2枚組だった。英語字幕がないのが残念。
ニューヨーク公共図書館は、本館のほかに4つの研究所と88つの支所をもつ世界最大級の図書館であり、世界中の司書たちの憧れの的とのこと。しかし映画には、図書館のついての網羅的な解説はない。
特定人物を追いかけることもなく、ひたすら図書館のスタッフや利用者たちを短いカットで撮影することで、ナレーションもBGMもなしで図書館の日々を淡々を描いていく。何気ないカットをつないでドキュメンタリー映画に仕上げる手腕はさすがというところか。
日本の図書館は「貸本屋」と揶揄されることも多いが、この映画で描かれる図書館はそれとはちがう。ライブラリートークやコミュニティ活動、コンサートがさかんに行われていおり、職業斡旋の機会も提供されている。
幹部たちの会議の様子を見ていてわかったが、ニューヨーク公共図書館は設置主体はニューヨーク市ではなくあくまで民間の非営利組織 (NPO)である。会議では年間予算の6割ほどは市から出ているようだが、残りは民間からの寄付で賄っているとのこと。これが実にアメリカらしい民主主義が感じられる。
お上が運営していないためか図書館は利用実績をとても気にしている点も興味深い。ベストセラーを多く蔵書にすれば利用実績は稼げるが、それでは10年後に必要とされる本を置くことができない、というジレンマは日本でも同じかもしれない。
私は公立図書館をかなり利用しているが、このような図書館は羨ましい。こういうところはアメリカの強みが出ていると思う。東京でももう少しなんとかできるのではないか、とどうしても思ってしまう。