映画『ヒトラーに屈しなかった国王』(2016年、監督:エリック・ポッペ)を鑑賞。圧倒的な軍事力のナチスドイツを拒否したノルウェー国王ホーコン7世を描いた伝記映画。ノルウェー映画。
1940年4月、ドイツ海軍の艦船がノルウェー近海に侵入するとノルウェー軍はこれを攻撃する。これを契機に圧倒的軍事力を誇るドイツ軍はノルウェーに侵攻し、ほとんどの都市が占領されてしまう。ホーコン7世(イェスパー・クリステンセン )は首都オスロを離れるが、ドイツは公使を通じて降伏を迫る。それに対する国王の選択は……。
史実を基にしているのでネタバレ云々は無粋なのだろうが、タイトルから「あぁ、降伏勧告を拒絶するんだろうな」とわかってしまうのは難点。戦争アクション映画としてもそれなりに健闘しているが、予算たっぷりのハリウッド映画と比べてしまうとどうしても見劣りがする。
またノルウェーの国内向けにつくらているせいか、我々日本人にとっては説明不足に感じられる点も多い。とくに国王の逃避行において地名がわからないことが致命的に思えた。オスロからどんどんに北に逃げていくが、要所要所で地図で現在地を示す工夫がほしい。
国王ホーコン7世は、結局イギリスに亡命して、亡命先から国民を鼓舞する。結果的には、自分だけ海外に逃亡する一方でノルウェー国内の戦禍は拡大して国民は甚大な被害を受けることになる。ノルウェー国民は国王をどのように思ったのだろうか。
まあこのような映画がつくられているのだから、ホーコン7世は国民から尊敬されているのは伺える。そのあたりの事情について少し説明があるとよいだろう。とにかく日本人にとっては説明不足な映画だった。