退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『暴力教室』(1976) / 松田優作x舘ひろしによる学園バイオレンス・アクション。任侠映画を学園に持ち込んだ異色作

録画してあった映画『暴力教室』(1976年、監督:岡本明久)を鑑賞。東映映画。松田優作の初主演作となるバイオレンス・アクション。舘ひろしの映画デビュー作品であり、舘の他にもクールスのメンバーが出演しているのも見どころ。

元ボクサーの新任教師・溝口(松田優作)が愛徳学園に赴任してくる。この学園は喜多条(舘ひろし)をはじめとする不良学生グループに支配されていた。溝口は、学園にはびこる悪を一掃するためにひとり不良たちに立ち向かう。一方、学園の理事長・石黒(安部徹)は、学園移転にかこつけて私腹を肥やそうと目論んでいた……。


暴力教室

この映画の構造はまるっきり東映得意の任侠映画。学園を舞台に任侠映画を撮ろうという意欲的な作品。スタッフはまじめに撮っているのだろうが、まるでコントのようでところどころ笑える。

松田優作の初主演作としてこれでいいのかとも思わなくもないが、松田優作の魅力は圧倒的で「遊戯シリーズ」への足がかりとなったことを考えると、「松田優作の原点」と言ってもいいのかもしれない。

一方、舘ひろしはギラギラしているが演技はまだ固いと言いたいが、その後もずっとこの演技は変わらず、「あぶない刑事」でも同じスタイルのような気もする……。また松田優作と並ぶとさすがに松田の凄さが際立つ。役者がちがうとは、このことだろう。

初っ端から学園の理事長役で安部徹、校長役が名和宏が出てきたところで、「こいつら絶対悪役だろ」と笑ってしまう。最後は日本刀を振り回す安部徹と松田優作との一騎討ち。このシーンは完全にブルース・リーのパクリ。ブルース・リーは拳法使いだったが、松田優作はボクシングというでかろうじてセーフなのか!? 臆面もなくパクリまくるという当時の東映らしい映画になっている。

そしてラストは松田と舘が理事長たちをぶちのめして、駆けつけた警官隊に向かって歩いていく。ここは東宝任侠映画そのまま。もうなんだかな〜。すごいものを見たような気がするようなしないような。