退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『探偵物語』(1983) / 薬師丸ひろ子主演の角川映画 松田優作とのディープキスが話題に

DVDで映画『探偵物語』(1983年、監督:根岸吉太郎)を鑑賞。少し前に『SOUL RED 松田優作』というドキュメンタリー映画を見て、そのなかで本作が引用されていたので無性に見たくなった。薬師丸ひろ子主演映画第3作の角川映画

なお薬師丸の相手役に松田優作が起用されているが、松田が主演したテレビドラマ『探偵物語』(1979年)とは別の作品である。ややこしい。

親が海外出張のため不在のため豪邸で一人暮らしする令嬢の直美(薬師丸ひろ子)は米国移住を控えていた。ある日、彼女のもとに探偵の辻山(松田優作)がやって来て、親からボディーガードとして雇われたという。直美は最初は拒否反応を示していたが、殺人事件に巻き込まれ、ふたりで事件を追っていくうちに好意を持つようになるが……。


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すでに人気絶頂だった薬師丸ひろ子主演のアイドル映画であり、映画的な面白さを期待するような作品ではないが、当時のアイドル映画としては教科書的なつくりで佳作といってもよいだろう。

薬師丸と松田がラブホテルに行ったり、薬師丸が松田の部屋に「泊めて」と押しかけてきたり、薬師丸の「処女性」を商品とするような映画はどうなのよ、といま振り返ると思うが狙いは成功している。とっくにラストの空港のシーンで、清純派として売り出していた薬師丸が松田とディープキスするシーンは思い切った演出。インパクトのあるラストとなっている。このシーンにフンガイしたファンも多かったはずだ。

また松田のキャスティングの妙も光っている。ふたりの身長差は見栄えがするし、朴訥とした松田の演技も役柄に合っていた。まあ松田優作の工藤ちゃんを期待して身にきた人はさぞ落胆したことだろうが。

あらためて見直すと薬師丸ひろ子のダサさが目立つ。取り立てて美人でもないし、スタイルがいいわけでもない。これが天下を取ったアイドルなのかと思うと不思議な気もする。角川春樹の慧眼がすごいというべきか。

この時期はこうした作風の映画がたくさん作られた。80年代を懐かしむことができる映画として悪くない。