退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

石原さとみ主演のテレビドラマ『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』を見終わった

フジテレビ系で放送されたテレビドラマ『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(主演:石原さとみ)を見終わった。薬剤師を主人公にした初めてのテレビドラマとして注目を集めた。

原作は荒井ママレによる漫画『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』である。ドラマ化にあたり、すこしだけタイトルが変更になっている。原作キャラのお団子ヘアが再現されているのはよかった。

当初、4月スタートの予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大により撮影が遅れて放送開始が延期となった。楽しみにしていたのでがっかりだったが、代替番組として『グッド・ドクター』(2018年)、『Dr.コトー診療所2004 特別編』の再放送が見れたのでまあよしとしたい。


しかし撮影スケジュールに支障が出たために、脚本にも影響が出たように見受けれれたのは残念。ラストの数回のグダグダ感は共演者のスケジュールの都合によるものだろうか。かなり雑に感じられた。それでも総じて人間ドラマとしてはよくできていた。

一部の視聴者からの批判は、主人公・葵みどり(石原さとみ)の行動が現実の薬剤師の業務とはかけ離れているというものだった。私自身も病院薬剤師が心臓マッサージしたり、患者の家に行って家探ししたりするのはどうかと思った。

しかし心臓マッサージについては、後にネットで実際に心マをやったことがあるという薬剤師を見つけたので、まったくあり得ない話でもないようだ。

それでもフィクションなのだから、現実から乖離していても別にいいだろうとも思う。大門未知子のような外科医はいないし、半沢直樹のような銀行マンもいない。フィクションと割り切れないのは、薬剤師の業務が広く知られていないことの証左なのかもしれない。

ラストで主人公の職場に「ロボッツ」が導入されることが決まっという話があった。人工知能やオートメーション化などの技術革新により、今後の薬剤師の業務内容が変わることはまちがいない。「モノから人へ」と言ってもいいだろう。その点、このドラマは現実を先取りしていたとも言えるだろう。

ドラマを見終わって物足りないなと思ったのは、医療現場における「チーム医療」というか多職種連携が十分に描けていなかったこと。ドラマの都合上、薬剤師が前面に出てくるのは仕方ないのだろうが、あまりにも看護師や医師が目立たないのはどうなのだろうか。この点はもう少し現実に即してもよいだろう。

また原作にあるエピソードだが、主人公の薬学部時代の同期数人が集まってワイワイやるシーンも見たかった。薬学部卒業後、調剤薬局の薬剤師やMRなどの仕事に就いていて、収入面を含めて薬剤師のキャリアパスの一端をみせてくていた。テレビドラマで続編があれば是非取り上げてほしい場面である。

まあもともと医療ドラマは好物なので点数は甘いが、最後まで切らずに見るぐらいには面白かった。続編を期待したい。

アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋 DVD-BOX