退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

テレビアニメ「おれは鉄兵」との再会

テレビアニメ「おれは鉄兵」は、ちばてつやの人気漫画を原作に、1977年から1978年にかけてフジテレビで放送された。元請けは日本アニメーションだが、実際のアニメーション制作はシンエイ動画が担当している。全28話。

DVD-BOXに付いていたブックレットによれば、原作漫画はちばてつや梶原一騎原作の「あしたのジョー」の連載を終了して燃え尽きたあと、原点に立ち返ろうということで描かれた作品だったという。

山奥で育った野生児・上杉鉄兵(声・野沢雅子)が父親の実家の上杉家や、学校で騒動を起こしながらも、剣道を通してたくましく成長していく姿を描く。12年に渡り山奥で埋蔵金発掘をしていた父子が、警察署をダイナマイトで爆破するという騒動を起こし、ついに東京の名家・上杉家に連れ戻される意外性が面白い。

さて肝心のアニメは、昔風の懐かし作画でほのぼのとして見られるし、野沢雅子のまるで「ドラゴンボール」の孫悟空かなと思わせる、少年役の演技には安定感ある。渡辺宙明の音楽も冴えている。

結構面白く見ていたが、本作は残念ながら視聴率が低迷したため28話で終了となっている。ストーリーでいうと、鉄兵が入学した王臨学園で剣道に目覚め、東大寺学園との対抗戦のための合宿に参加。高等部と中等部との間で対抗戦の出場を争う試合に、鉄兵率いる中等部が勝利して対抗戦への出場を決めたところで打ち切られている。

当時の子どもに受け入れられなかった理由はわからないが、中途半端なところで打ち切られたのは惜しい。もっと先が見たかった。

おそらく何十年ぶりにこのアニメを見たが、細かいところは忘れていたが主題歌は意外に覚えているものだなと思った。オープニングのサビの「ダイナマイトどーん」やエンディングの「カニさんカニさんどこ行くの〜」という歌詞ははっきりと記憶に残っていた。


藤本房子「おれは鉄兵」

藤本房子「カニさん カニさん」

さて「おれは鉄兵」のアニメは中途半端なところで打ち切られたが、原作漫画は、7年近くにわたり「週刊少年マガジン」に長期連載された。原作漫画を読み直してみたくなった。

おれは鉄兵 (1) (講談社漫画文庫)

おれは鉄兵 (1) (講談社漫画文庫)

おれは鉄兵 (12) (講談社漫画文庫)

おれは鉄兵 (12) (講談社漫画文庫)

個人的には、かつては大蔵省主計局に務めていたが、突如埋蔵金発掘のために家出した鉄兵の父親の転機に興味がある。アニメではその理由について、ほとんど言及されていなかったが、原作漫画ではどうなっているのか。とても気になる。