退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

「韓国、土壇場でGSOMIAの破棄を撤回」に思う

今年8月、韓国が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めて、日本に正式に通知した。両国の歩み寄りがなければ、23日午前0時にGSOMIAが失効する予定だった。

しかし韓国政府は、土壇場の22日、急遽方針変更してGSOMIAの破棄を撤回すること日本政府に通知し、GSOMIAは維持されることになった。かくて破局は食い止められた。これまでなら日本が折れていたのだろうが、今回はさすがにそうしたことはなかった。

この通知以後、韓国は一貫して「日本の輸出管理措置を撤回しないかぎり、GSOMIA破棄の方針は変わらない」と強硬な態度を取り続けていたが、土壇場の手のひら返しに驚いた人も多かっただろう。

この方針変更の裏には、韓国に対するアメリカからの圧力があったことは疑いがない。米国政府高官が相次いで訪韓して、日米韓の同盟の安全保障上の重要性を説き、GSOMIA維持を求めてきた。

にもかかわらず、韓国は頑な態度を変えずGSOMIA破棄は避けられないと予測する人が多かった。アメリカ様の強い圧力を受けながらも、自国の方針を貫く韓国政府の姿勢は、ある意味うらやましいとさえ思っていた。アメリカの属国と揶揄される日本ではありえないことだからだ。

しかし韓国は土壇場でGSOMIA維持を選択した。政府内部でそのような議論があったのだろう。一応「条件付き」と言っているが、事実上の破棄撤回で一方的な外交上敗北であることは誰の目にも明らかである。これで韓国の内政はもつのだろうか。

アメリカと韓国との間には、日韓GSOMIAの他にも在韓米軍の駐留経費の負担増という問題もある。トランプ政権は例年の5倍ほどの負担を韓国に求めているという報道もある。これは安全保障をアメリカに依存している日本も他人事ではない。

下の地図を見てもわかるように朝鮮半島地政学上の要衝である。半島が日本にとっての敵性国家になった場合、大変な脅威になる。かつて日本のある政治家は、朝鮮半島は日本の喉元に突きつけられた匕首(あいくち)のようなものだ」と看破した。朝鮮半島情勢は日本の安全保障に直結する。

永遠の平和というのは夢物語だとしても、いまから半世紀程度は日本を含む東南アジアが静かであってほしいと願うばかりである。そのためには日本の政治家たちには、今後朝鮮半島をどのようにコントロールしていくかを真剣に考えてほしい。

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