近所のシネコンで映画『ジョーカー』(2019年、監督:トッド・フィリップス)を鑑賞。DCコミック「バットマン」の悪役ジョーカーの誕生の経緯を描く。主演はホアキン・フェニックス。
ゴッサムシティで老母を介護しながらひっそり暮らしていたアーサー(ホアキン・フェニックス)は、精神疾患を抱えながらもいつの日かコメディアンとして世に出ることを夢見て、道化師の扮装で仕事してなんとか糊口をしのいでいた。そんな社会的弱者であるアーサーに世間の風は冷たかった……。
JOKER - Final Trailer - Now Playing In Theaters
ゴッサムシティの財政難を理由に社会保障が削減され、カウンセリングや医薬品の提供が打ち切られるなど、アーサーは次第に追い詰めれていき、やがてジョーカーと名乗り、テロリストに変貌していく経緯が描かれ、ラストでは「バットマン」の冒頭部につながっていく。
社会への怒りが昂じて道化師姿で笑うしかなくなるジョーカーを演じるホアキン・フェニックスの演技が秀逸。『ダークナイト』でジョーカー役を極めてヒース・レジャーとは別の魅力がある。鬼気迫るとはこのことだろう。精神的に安定しているタイミングで鑑賞してほしい。
またロバート・デ・ニーロが重要な役で出演していることもあり、『タクシードライバー』(1976年)や『キング・オブ・コメディ』(1982年)のオマージュも盛り込まれている。ハリウッド映画の文化的蓄積が感じられる。日本映画ではこうはいかないだろう。
映画そのものは面白かったしオススメできる。しかしジョーカーの魅力は、その出自が謎めいていて、どうしてこれほど無敵モードで非情な人物が出来上がったのかが判らないところだったが、本作のように後付けで色がついてしまったのは残念な気もする。