退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

ちばてつやの少年漫画「おれは鉄兵」を読了!

先日、アニメ版「おれは鉄兵」を全話見たが、中途半端なところで打ち切りになっていた。続きがどうしても知りたくなったので原作漫画を読んだ。内容は断片的には覚えていたが、最後どうなったのか思い出せない。

手にしたのは文庫版(全12巻)。実際に手元に届いてそのその分量の多さに驚いたが、読み始めるとスイスイと読み進めることができた。とても読みやすいのはさすがというべきか。内容は手に汗握る剣道漫画として楽しめたが、終わり方は想定の斜め上を行っていて、ちょっとびっくりした。

アニメでは、合宿で鉄兵が率いる中等部が東大寺学園との対抗戦の出場権を勝ち取るまでが描かれていた。結局、その対抗戦には鉄兵以外の中等部の連中が東大寺学園の実力を見てビビって出場辞退。「えー、なんだそりぁ」とがっかりした。

その後、鉄兵は学業不振・素行不良のため王臨学園を退学になり、猛勉強の末に東大寺学園編入することになる。剣道部のランキング戦では、次々に先輩たちを打ち負かせして、仲間たちの声援のなか、ついに大将の座まで上り詰めるあたりは圧巻。

さらに関東大会では中等部を団体優勝に導き、個人戦でも並み居る強豪を倒してて優勝するという快挙を成し遂げる。大会後、日常の学園生活に戻るが鉄兵の素行はクズのまま。学園の裏山で山火事を起こして大騒動になり、ついに仲間たちとともに停学処分を受ける。

そして停学中にもかかわらず、戊組の連中を連れて父親とともに財宝発掘に挑む。作業中に生き埋めになるが、父親は一山当てることに成功。そのカネで砕氷船を買ってみんなで宝探しに出航する。そこでおわり。「えー」という終わり方だ。

最終巻では関東大会で優勝したあとに剣道の話はほぼなし。そこに至る剣道のシーンがバツグンに面白かっただけに残念。鉄兵には全国大会に進んで活躍してほしかった。

ちばてつやが「おれは鉄兵」の連載を始める前に描いていたのは、不朽の名作「あしたのジョー」だ。梶原一騎の原作だったこともあるが、「あしたのジョー」が奇跡的なエンディングだったのに対して、「おれは鉄兵」のそれは「なんだかなぁ~」という印象は拭えない。

元々、作者は剣道漫画を描くつもりはなかったということだし、スポーツ漫画の店じまいをどうするかというのは難しいのだろうが……。それにしても納得できないエンディングだった。連載漫画をあとで読み直す場合、こういうことはよくあるが連載漫画の宿命なのだろう。

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