新文芸坐で映画『スノー・ロワイヤル』(2019年、監督:ハンス・ペテル・モランド)を鑑賞。ノルウェー映画『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』をハリウッドでリメイクした作品。主演はリーアム・ニーソン。
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2019/10/25
- メディア: Blu-ray
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除雪作業員ネルズ(リーアム・ニーソン)は、ロッキー山脈近くの田舎街キーホーで模範市民賞を受賞するほどまっとうに生きていた。ある日、一人息子が何者かに殺されてしまう。ネルズは、息子を殺したのは地元の麻薬組織であることを突き止め、親玉バイキング(トム・ベイトマン)たちを皆殺しするべく復讐を始めるが……。
Cold Pursuit (2019 Movie) Official Trailer – Liam Neeson, Laura Dern, Emmy Rossum
息子を殺された父親が復讐の鬼と化すという話。しかし、一介の除雪作業員が強すぎることに説得力がないのが難点。戦闘経験がロクにないのに、除雪作業で身に付けた土地勘と体力と犯罪小説で続んだ知識で一人ずつ敵を葬り去っていく。でも、なんでそんなに強いのか説明がない。
アメリカの豪雪地帯を舞台にした復讐劇というアイデアは面白いし、そこで使われている除雪車などの機材を活かしたアクションシーンには目新しさはある。それでも全体としてテンポが悪くてラストも後味が悪い。
また共感できなかったのは、主人公ネルズの妻(ローラ・ダーン)が息子の死後しばらくして夫を残して家出してしまうこと。夫のカフスボダンを付ける場面に伏線があるのはちょっとよいが、家族とは何だろうと思ってしまう。まあキッチンでタバコする女はダメだということか。
シーンごとに死亡者の名前が十字架とともに画面に出る演出はタランティーノ作品のようだ。全体的にもタランティーノの影響が感じられるが、ホンモノほど洗練されていないのはちょっと残念。アイデア勝負の映画ともいえるが、アクション映画としては成功しているとは思えない。
それにしても『スノー・ロワイヤル』(原題:Cold Pursuit)という邦題はセンスなさすぎ。主人公と2つの麻薬組織、警察が入り混じって進行するというところからこの邦題を付けたのだろうが意味不明。適当にカタカナで邦題を付けるのはやめたほうがいい。ロビーに『銀嶺の標的』というタイトルのポスターがあった。レトロ感覚で洒落で作ったのかわからないが、こっちのほうがよほどよい。