退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『ザ・フォーリナー/復讐者』(2017) / 冷徹非情なジャッキー・チェンが新鮮

新文芸坐で映画『ザ・フォーリナー/復讐者』(2017年、監督:マーティン・キャンベル)を鑑賞。ロンドンを舞台にしたアクション・サスペンス映画。主演はジャッキー・チェン

ザ・フォーリナー/復讐者 [DVD]

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ロンドンで中華レストランを経営していたクァン(ジャッキー・チェン)は、娘に送迎中に爆破テロに巻き込まれ、その場でたった一人に肉親であった娘の命を奪われてしまう。北アイルランド解放を唱える過激派組織(IRAのはずだが字幕は架空の組織だった)が犯行声明を出す。元・アメリカ軍の特殊部隊に所属していたクァンは復讐を誓い、元・過激派組織の活動家だった大物政治家(ピアース・ブロスナン)に接近するが……。


The Foreigner Official Trailer #1 (2017) Jackie Chan, Pierce Brosnan Action Movie HD

ジャッキーの映画といえば、正義感に燃えていて、コミカルで明るい主人公が活躍する印象があるが、本作のジャッキーは陰鬱で冷徹な復讐者を演じていて新鮮な印象を受けた。

最初スクリーンにジャッキーが登場したとき、あれあれ随分と老けたなと思ったが、この映画のインタビュー映像を見ると、役作りのための老けメイクだったようだ。演じているのは、ベトナム戦争で活躍した特殊部隊工作員で相応の歳という設定だが、ジャッキーがそうした初老の男を演じるようになるとは、時の流れを感じてしまう。

期待を裏切らずジャッキーのアクションは冴えているが、演技に歳相応の深みがあるかと言えばそうでもない。映画全体をみると、敵役のピアース・ブロスナンの存在感に助けられている部分が多い。アイルランド紛争を下敷きにしたストーリーは陳腐で新鮮味に欠ける。

それでも歳相応のジャッキーを十分に楽しめるし、ロンドンの街が美しく撮れている点も加点したい。

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