映画『TIME/タイム』(2011年、監督: アンドリュー・ニコル)をようやく鑑賞した。公開時、映画館で予告編を見て設定が面白そうと思ったが、結局上映館が少なく見逃したSF映画である。わかりにく邦題だが、原題は In Time である。
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2013/02/06
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近未来、人類は科学の進歩により老化を克服。25歳で歳を取らなくなり、人々は余命(時間)は労働により稼がなければならなくなった。時間が統一通貨となり、食料品から贅沢品まで時間で支払う。
人々の左腕には光るデジタルの時間表示があり、これが各自が持っている「時間(余命)=お金」を表し、これがゼロになると即死する。人々の間で合意のうえ時間の受け渡しができるし、無理やり奪うこともできる。普通の通貨と同じである。
こうした世界にも貧富の格差があり、貧困層が暮らすスラムと富裕層が暮らす街は隔離されている。裕福な人はおカネ(余命)を十分に持っているため、実質的に不死である。その一方で貧困層は余命を給料として受取りその日暮らしを続けていた。
スラム街の住む主人公ウィル(ジャスティン・ティンバーレイク)は、不平等な社会で母親を失ったことに憤り、復讐のため富裕層の街に向かう。そこでシルヴィア(アマンダ・サイフリッド)と出会い恋に落ち、ふたりで理不尽な社会に反旗を翻す。
たしかに「余命=通貨」という設定は斬新だし、現代の格差社会の風刺してるのも悪くない。だだし、あまりにも現実離れしていてリアリティがないのは難点。設定は面白いが、細かいことを気にしだすと設定自体が作者のご都合主義に思えて興ざめする。いろいろと説明不足なのだろう。
また映画としても期待してほどではなかった。せっかくの設定を活かしきれていないよ。もっと面白い映画が作れたのではないか。どのシーンもどこかで見たことにあるような既視感が感じられた。ただ、みんなの25歳で成長がとまるので、親子でも外見はどちらも25歳で若いという画はちょっと面白い。
ふたりで逃避行しながら強盗を繰り返すあたりは、往年のニューシネマの名作『俺たちに明日はない』(1967年)を想起させるが、映像にそれだけのキレはないのは残念。それなりに楽しめるSF映画ではあるが、名作というには程遠い。
まあ登場人物が時間(=命だから当たり前)大切にしているのは伝わってくる。私ももっと時間を大切にしないといけないと思った。まさに「時は金なり」という箴言を映像化した作品と言えるだろう。