DVDで映画『緊急呼出し エマージェンシー・コール』(1995年、監督:大森一樹)を鑑賞する。原作は大田靖之の小説『緊急呼出し』。コロナ禍のなかどうしても医療モノに手が伸びる。フィリピンのスラム街を舞台した医療ドラマ。ほとんどが英語のセリフでストリーが進む。
日本人の産婦人科の研修医・原田(真田広之)は、フィリピンのスラムを抱える地区で第三次病院に勤務していた。スラム街から次々に患者が運ばれ、医師への緊急呼び出し(エマージェンシー・コール)は途絶えることはない。貧困や無知による過酷な環境のなか異国の地で医療活動に励んでいた原田は、ある日ダンサーのカティー(メイン・アーナイス)と知り合い恋に落ちる。恋仲になったふたりだったが、カティーは恐ろしい運命が襲う……。
医療ドラマということで医大卒の大森一樹監督に白羽の矢が立ったのだろうが、映画としてはイマイチ。真田広之はアクションを披露するわけでもないが、医師役でもカッコいいのは見どころか。フィリピンのロケにより現場の空気感が捉えら得ていることも加点できる。
しかし恋人に死をきっかけに、アメリカ行きを断念して現地医療に尽力するあたりは予定調和というか安易すぎてフィクションとしても陳腐すぎる。「そうはならんやろ」とツッコミたくなる。
実際、原作者も本作の原田と同じようにフィリピンでの医療を経験したあと、アメリカに渡り医師免許を取得後、日本に戻ってきているらしい。
あと原田の大学時代の恋人(鈴木京香)を略奪した友人を大江千里が演じてることに注目したい。この友人がフィリピンまで逃げてくるが、この日本絡みのエピソードだけは日本語セリフなのでちょっと安心する。
映画としては凡庸。悪くはないが、元ネタは面白いだけにもう少しなんとかなったのではないかと思わせる。