退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

東映がピエール瀧出演の『麻雀放浪記2020』をノーカット公開すると発表した件で思ったこと

東映が、20日、麻薬取締法違反の疑いで逮捕されたピエール瀧容疑者が出演する同社配給の『麻雀放浪記2020』(監督:白石和彌)を予定どおりに、4月5日から公開することを発表した。ピエール瀧の出演シーンも編集なしでノーカットで上映される。

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私自身も、 ピエール瀧の逮捕を受けてAbemaTVで配信中の朝ドラ『おひさま』でも出演回が大幅にカットされて残念な思いをした。そこで先日、不祥事を起こした俳優の出演作品が封印される日本の風潮を残念なことだという記事を書いた。

今回の東映の対応はこうした風潮に一石を投じるもので歓迎したい。東映の決定については賛否両論あるだろうが、これを契機に議論が深まり、業界になんらかのルールができることも期待したい。

映画の公式サイトをアクセスすると、ポップアップウィンドウで次のメッセージが表示される。

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今回「やくざ映画東映だからできる」という声もある。たしかに社風やメディアの種類によっても温度差があろうだろう。

今回の記者会見でも東映社長は「劇場での上映は有料であり、かつ鑑賞の意志を持ったお客様が来場し鑑賞するというクローズドなメディアでありますので、テレビ放映またはCM等とは性質が異なります」と述べた。

CMはスポンサーの意向が優先されるは疑いがないが、映画やテレビ番組にちがいはあるのだろうか。どちらも商業コンテンツである以上、広い意味で出資者がいるわけで、その意向が通るということになるのだろう。

個人的には 「作品と個人の犯罪は別」だと思うが、ピエール瀧の逮捕以後のメディアの「自粛」の動きを見ると、話はそう簡単にはいかないようだ。そこに日本の縮図を見ているようだし、国民の意識が変わらないかぎり「自粛」する風潮は変わらないだろう。来月の映画『麻雀放浪記2020』の公開日に映画館前が上映反対デモなど混乱しないことを祈りたい。


映画『麻雀放浪記2020』特報(ロングver.)

余談だが、来月封切られる映画『麻雀放浪記2020』を撮っていることは知っていたが、実はほとんど興味がなかった。主人公の坊や哲(斎藤工)が戦後直後から現代にタイムスリップするという設定もいかにもという感じだし、全自動卓が普及している現代でどのようにいかさまするのかも謎である。またリメイク失敗作を増やすだけかと思った。

しかし今回の騒動でちょっと気になる映画になった。相当な宣伝効果があっただろう。それでも私は封切りでは見ない。いつか名画座で上映される機会があれば、それほど東映が上映にこだわった作品をスクリーンで見たい。

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