退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『プライドと偏見』(2005) / 恋愛小説のベストセラーの映像化作品

DVDで映画『プライドと偏見』(2005年、監督:ジョー・ライト)を鑑賞。原作は、これまで何度も映像化されているジェーン・オースティンの小説『高慢と偏見』(Pride and Prejudice)。主演はキーラ・ナイトレイマシュー・マクファディン


18世紀末、イギリスの田舎町に暮らすベネット家の五人姉妹。女性に相続権がない時代、娘たちの将来のため、母親は娘たちを何としても資産家と結婚させようと頭を悩ませていた。そんな折、近所に独身の富豪ピングリー(サイモン・ウッズ)が越してきて舞踏会を催す。舞踏会の夜、美人の長女ジェーン(ロザムンド・パイク)はピングリーにダンスに誘われてまんざらでもない。しかし次女のエリザベス(キーラ・ナイトレイ)は、彼の親友だという高慢な男、ダーシー(マシュー・マクファディン)から侮辱の言葉を聞き嫌悪感を抱くが……。


プライドと偏見 - 予告編 字幕

本作は、世俗的な恋愛小説、今風に言えばラブコメであり、昔からよくある話である。小説は世界的なベストセラー。日本でどのくらい読まれているがわからないが、周囲にも好きだという人がいるので割と知られている小説なのだろう。原作は1995年にBBC制作でテレビドラマ化されて高い評価を得ている。これに比べると、こちらはやはり尺が短いためか駆け足の感は否めない。

この映画の美点は、イギリスの田舎の風景が美しく撮られてること、そして次女エリザベートを演じたキーラ・ナイトレイの魅力であろう。それに比べて男優陣は華がなく地味である。また当時のイギリスの生活や、そのなかで暮らす人たちの営みがよく表現されていてなかなか楽しめる。登場する女性たちが活き活きとしているのがよい。

ただ本作の背景にあるジェントリ社会については、映画のなかでもう少し説明があってもいいだろう。欧米人には常識なのかもしれないが、日本人にとってはわかりにくい。鑑賞後にいろいろ調べてみると作品をより楽しめると思う。これは外国人が日本の時代劇を見る場合と似ているのかもしれない。