弥生美術館で開催中の企画展「画業60年還暦祭 バロン吉元☆元年」に行ってきました。
1959年にデビューした吉元の“画業還暦”を記念した企画展。1960年代から70年代にかけて劇画ブームなかで活躍した漫画家のバロン吉元。代表作は『週刊漫画アクション』に連載された「柔侠伝」シリーズ。“画業還暦”を記念して新装版が刊行されたとのこと。
人気漫画家として活躍していた吉元は、すべて連載を終了させて突如渡米します。帰国後やバロン吉元の名前を伏せて絵画制作に取り組みます。このあたりがミステリーです。
この展覧会では、貸本屋時代の原画から、劇画ブームのなかで連載していた人気漫画の原画がずらりと並んでいます。とくにスクリーントーンを使わずに、細かく描き込まれた「かけ網」の技術を間近で見られるのは貴重。また2階には大型絵画が多数展示されていて迫力に圧倒されます。
私はリアルタイムで吉元の劇画を読んでいた世代ではありませんが、学生時代、『週刊漫画アクション』や『週刊漫画ゴラク』は場末の中華料理でよく読んでいました。ちょっと懐かしい気分になれる原画展です。
以前から「なぜペンネームがバロン(男爵)なのだろう」と気になっていましたが、そのいきさつを記した解説パネルがありました。雑誌『漫画ストーリー』の当時の編集長が本人に無断で当時使っていた本名から「バロン吉元」に改名したとのこと。あとでこれを知った本人はフンガイするが、ペンネームを気に入ったそうです。なかなかすごい世界です。