新文芸坐のオールナイト《新春新文芸坐バラゴンまつり+1》で、映画『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(2001年、監督: 金子修介)を鑑賞。平成ガメラ3部作の金子監督がゴジラ映画を撮ったことで話題になった。シリーズ第25作。
ゴジラ上陸から50年後の日本が舞台。民間伝説を下敷きにして、悠久の眠りから覚醒した天の神(キングギドラ)、海の神(モスラ)、地の神(バラゴン)が破壊神・ゴジラに立ち向かうというストーリー。
怪獣映画を撮り慣れているツボを抑えた金子修介監督の演出が冴えていて満足度は高い。ガメラにすがった東宝経営陣の心情はいかばかりだったかは知らないが、結果的には「よくやった」いいたくなる仕上がりで高く評価できる。
今回見た4本のなかでは最も新しい映画であり、60年代の東宝特撮からは映像技術の進歩が感じられる。とは言うものの現代のCG技術と比べるとまだまだ未熟でもあり、その微妙な感覚がなつかしく感じられて味がある。
またドラマパートではケーブルテレビのレポーターを演じたヒロイン新山千春が魅力的に撮られていることにも注目したい。自転車を駆って実況を続ける姿は男前でしびれる。しかし宇崎竜童が演じる新山千春の父親でもある海上自衛隊の准将はちょっといただけない。あごひげの自衛官なんていないだろうし、室内でもサングラスだったり、制帽なしで右手で敬礼するなどいろいろおかしい。
さて肝心のバラゴンは護国三聖獣の1体である「地の神・婆羅護吽」として登場して、箱根大涌谷でゴジラと対決する。ジャンプしての体当たりなどで対抗するが、体格がちがいすぎてかわいそうなほど。女性のスーツアクターが演じていたとのこと。結局、ゴジラにフルボッコにされる。しかもバラゴンは三聖獣の1体にもかかわらずタイトルに載らない。ここでもマイナー怪獣の悲哀を醸し出している。