退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』(1966) / 自衛隊ががんばっています

新文芸坐のオールナイト《新春新文芸坐バラゴンまつり+1》で、映画『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』(1966年、監督: 本多猪四郎)を鑑賞。バラゴン特集だったが、この映画にはバラゴンは登場しない。

前作『フランケンシュタイン対地底怪獣』の続編として企画される。しかしタイトルにフランケンシュタインの名称が残り、ともにヒロインに水野久美が起用されるなどしているが、独立した作品としてつくられた。

日本近海で謎の人形巨大生物による海難事故が頻発し、さらに羽田空港に上陸して大暴れして人々をパニックに陥れる。被害が拡大するなか、自衛隊は「L作戦」を展開して巨大生物の駆除に取り組む。自衛隊は奮戦してあと一歩というところまで追い込むが、もう2体目の巨大生物が山から現れて1体目を助けて、姿を消してしまう……。


フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ(プレビュー)

ストーリーは日本神話の「海彦山彦」が根底にあるのは明白。劇中、海の巨大生物はガイラ、山の巨大生物はサンダと命名されている。ガイラは凶悪で、怪獣映画のタブーとされている人喰いの描写も含まれている。まるで後年の「進撃の巨人」のようだが、東映特撮らしくない表現である。これも海外のニーズだろうか。

この映画の見どころは自衛隊の活躍だろう。河川に電気を流して足止めしたり、東宝自衛隊の新兵器「メーサー殺獣光線車」を使ったりして、ガイラを追い詰めていくあたりは、伊福部昭の劇伴もあって大いに盛り上がる。

脚本はいろいろ難があるが、円谷英二の特撮を堪能する映画としては一見の価値がある。