ニコ生で手塚治虫生誕90周年を記念して手塚アニメが日替わりで放送されていた。「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」「リボンの騎士」「ブラック・ジャック」と並んで「どろろ」が放送されていた。
テレビアニメ『どろろ』は、1969年にフジテレビで放送された。全26話。当初原作と同じく『どろろ』というタイトルであったが、第14話からは『どろろと百鬼丸』と改題された。今回はそのうちの12話が配信された。
時代は応仁の乱の頃。48体の魔神に、身体の48ヶ所を奪われた百鬼丸は、自分の身体を取り戻すため、孤児のどろろと共に妖怪を倒す旅を続ける。妖怪を倒すたびに、百鬼丸の身体の一部が戻ってくるという設定である。しかし第12話までに取り戻したのは片目と片足のみ。
この作品は子ども向けのテレビアニメだったが、総監督の杉井ギサブローがガチでつくったものだから子どもとってはハードな世界観のアニメになった。差別問題や当時の社会風刺を織り込んでいて、おっさんが今見ても見応えがある。すでにカラーテレビの時代だったにもかかわらず、モノクロ作品だったのも作品に重厚な雰囲気を与えている。
当然、子どもたちには受け容れられず、1クール終了後に低年齢層をターゲットに路線変更を求められるが、杉井総監督は難色を示し現場を放り出したエピソードはあまりにも有名。いまでこそ傑作アニメと評価が高いが、作家性の強いアニメを世に問えた古き良き時代だったのだろう。
私自身はさすがにリアルタイムでは見ていないので、最初はビデオか何かで見たのだろう。その後、どこかの名画座でオールナイト上映されたのを見たのが記憶に残っている。いまはなき浅草東宝だったか、新文芸坐だったか、よく覚えていない。大きなスクリーンで暗闇のなかで、あのモノクロアニメが上映されたのは、思い返しても貴重な体験だっと思う。
さて、この『どろろ』は来年1月に再アニメか化されるという。PVが公開されているが、さすがに映像はきれいである。しかし『銀河英雄伝説』のリメイクの例を挙げるまでものなく、映像がきれいであればいいというものでない。現在の地上波アニメの制限のなかで、どのような作品になるか楽しみである。