退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『プレデター』(1987) / シュワルツネッガー vs 初代プレデター

プレデターの新作が現在公開されているので、初心に帰ろうとSF映画プレデター』(1987年、監督: ジョン・マクティアナン)を見直してみた。初代プレデターである。

捕虜となった政府要人を救出するために、南米のジャングルにダッチ(アーノルド・シュワルツェネッガー)が率いる特殊部隊が投入される。捕虜救出に向かう一隊に突如正体不明の敵が襲いかかる。それはカメレオンのような光学迷彩をまとい、宇宙から来襲したプレデターだった……。


Predator (1987) - Trailer (HD)

製作時シュワルツネッガーはすでに『ターミネーター』や『コマンドー』でブレイクしたいたし、決してB級SF映画ではないはずだ。しかし当時の特撮技術は拙く、いま見ると映像はどうしてもショボく見えてしまう。しかしシンプルな構成で誰が見てもわかりやすく、直球の面白さがあるSF映画である。

まず見えない敵の恐怖を味わえるところがいい。特殊部隊が一人また一人とプレデターの餌食になる。光学迷彩を装着しているプレデターは、特殊部隊からはその姿が見えなず、恐怖が倍増するという演出は巧みだ。加えて、プレデターの視点からの映像も効果的だった。

そしてプレデターの造形も印象に残る。光学迷彩のほか、腕にはリストブレード、肩にはプラズマキャノンを装着していている。ハイテク装備であるが、装備を外すとグロテスクな姿を現す。しかも血液はなぜか緑色の蛍光色というのもいい。

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ラストはシュワルツネッガーとプレデターの一騎打ちになり、装備を破壊されたプレデターは装備を外し、シュワちゃんと肉弾戦を演じるのは新しい。人類をはるかに凌駕する身体能力をもつプレデターシュワちゃんは苦戦するもの辛くも敵に致命傷を与える。しかしプレデターは最後に自爆することを選ぶ。性悪すぎる。

惜しいのは、プレデターの背景について説明がなくSFとしての設定が弱いこと。プレデターとはいったい何者で、地球に来た目的も明らかにされない。地球まで宇宙船で飛来していることやハイテク装備品から、人類よりはるかに進んだ科学技術をもつエイリアンであることがわかるが、詳細は説明されないのは不満。

釈然としないなかオリジナルの予告編を見ると、"hunt for sport"でやってきたと言っていた。「娯楽のための狩猟」ぐらいの意味だろうが、それが目的なら負けたら自爆せずにキレイに死ねよと思ったものだ。

この映画の評価については賛否両論あるが、プレデターのキャラクターはSFファンに愛された。その後、何度も映画に登場することになる。そのあたりは「映画秘宝」の先月号に詳しい。そのうち名画座で歴代プレデターのオールナイトを上映してほしい。

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