「最小限のお金で生きて、最大限の自由を手にする」ことを信条とするミニマリストの「手ぶら」へのガイド。筆者は人気ブロガーとのこと。
- 作者:ミニマリストしぶ
- 発売日: 2018/05/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
巻頭、筆者が暮らす部屋の写真が載っていた。四畳半ワンルームで家賃2万円。たしかに何もない。写真にインパクトがある。徹底したミニマリストのようだ。
以下、「50の方法」のなかから気になった項目を挙げてみる。カッコ内の番号は本のなかの通番。
- (02)床にそのまま寝る
- (14)スマホは大型サイズを選ぶ
- (26)「健康」がなによりの資産だと知る
- (33)「一点豪華主義」と「コンフォート原則」を守る
- (37)生活の水準を上げず、満足の水準を下げる
この本を読み始めて驚いたのは「床にそのまま寝る」というところ。健康上の問題ないのかと思ったが、マットレスで寝るのと睡眠の質は変わらないという。ストイックだなと思ったがが、あとで、「床で寝る日」と「マットレスで寝る日」を使い分ける、と書いてあったので「マットレスあるんかい」とちょっと安心した。
「スマホは大型サイズを選ぶ」というのも意外に思った。電子書籍を読んだりメモをしたりするのに大きなディスプレイが便利なのはわかる。iPadのようなタブレットを持ればいいのにと思ったが、2台持ちがイヤとのこと。なるほど。
「『健康』がなによりの資産だと知る」というのは同意できる。口腔洗浄機を導入したことを紹介している。他のセクションでも、「幼少期にアトピーやアレルギー、ぜんそくに悩んだため健康に対する意識が高い」と述べていて、「健康オタク」だという。しかし、いくら健康に気を付けていても、病気になるときはなる。その備えはあるのだろうかと他人事ながら心配になった。
「『一点豪華主義』と『コンフォート原則』を守る」というのも面白い。何もない部屋なのに、高そうなドラム式の乾燥機付き洗濯機が置いてあったのが目立つ。筆者なりの思想に基づくものなのだが、なかなか面白いお金の使い方だと思った。また、毎日長時間使う物にお金を多く使ったほうがが幸福度が高い(コンフォート原則)というのも納得できる。
また「生活の水準を上げず、満足の水準を下げる」というのも共感できる。食うのに困るほどの生活水準ではさすがに困るが、ほどほどの生活水準で幸福感を得る方法を追求することに手間をかけるのは合理的に思う。
さて本書の「50の方法」には、実用的なアイディアと思想的な主張をとりあげて2種類ある。アイディアのなかには見るべきものが多いし、一読して自分のライフスタイルに照らして取捨選択して取り入れるアイディアもある。なかなか参考になった。
ただし、筆者はまだ若いし、独身でフリーランスだからこそ実践できる内容も多いことも指摘しておきたい。将来筆者が、例えば家庭を持ち状況が変わったときに、どのようなライフスタイルを選択するのか、また思想信条にどのように変化が生じるのか野次馬として興味が尽きない。