「現代の魔術師」と呼ばれる落合陽一の日本のグランドデザイン。
- 作者:落合 陽一
- 発売日: 2018/01/31
- メディア: 単行本
この本のなかに筆者の国家観ははっきりと示されていないが、「日本再興戦略」について提言しているのは意外に思った。一流の(理系)研究者という人たちは、好きな研究さえできれば国家の枠組みなどどうでもよくて、日本が衰退しても海外に行けばいい、と考えているかと思っていたからだ。
内容は多岐にわたるが、総花的でこれまでの雑多なアイディアを寄せ集めだろうかという印象を受ける。私がなるほどと思ったのは次のことだ。見出しを挙げてみる。
「人口減少・高齢化は日本のチャンス」などと思い切った主張もあり、にわかに首肯できないこともある。自動運転の普及などは、私も期待しているが、とくに日本ではそれほど簡単ではないだろう。全般的にテクノロジーに対して楽観的なのが本書の特徴である。
あとがきに「僕が筑波大学を辞めて大学に再就職した理由」というセクションがある。これだけ読んでも、どういうスキームなのか詳しくはわからないが、国立大学のなかに自分が経営する研究所をつくり、自分の会社から自分に給料を払うというシステムにしたらしい。国立大で初めてらしいが、こうしたことが実現できるのかと驚いた。しかし冒頭にも書いたが、なぜこれほど日本にこだわるのかが分からない。
この本はわかりやすく読みやすいので、パラパラめくって、気になったところを拾っていくのがよいだろう。きっと何か得るものがある。売れているのもわかる気がする。