予定がキャンセルになり時間が空いたので、六本木のサントリー美術館で開催中の「琉球 美の宝庫」という展覧会を見てきました。ちょっと気になっていたイベントです。サントリー美術館は、私にとってアクセスが便利だし、館内の雰囲気も落ち着いているので好きなスポットのひとつです。詳しくプログラムを追っているわけではありませんが、工芸品の展示が多いような気がします。
ここでちょっと琉球王国の歴史を振り返ってみます。15世紀に初代尚円が国王に即位してから、琉球王国は尚家によって統治されてきました。琉球王国は、中国と冊封関係をむすび中継貿易の要所として大いに栄えます。その後、17世紀に薩摩藩の侵略を受け、日本の幕藩体制に組み入れられるも、琉球は王国体制を維持して独自の文化を形成していきます。その後、19世紀に明治政府が成立すると琉球処分により王制が廃止されます。
今回の展示は、「琉球の染織」「琉球絵画の世界」「琉球国王尚家の美」「琉球漆芸の煌き」という4章構成でした。このなかで目玉は琉球国王尚家関係資料」に含まれる珠玉のコレクションです。ポスターにある簪付きの王冠がひときわ目を惹きます。南国らしいきらびやかなデザインです。
しかし残念ながら私が今回目にした王冠は「復元」(Restored)でした、本物(?)が展示されるのは、8月22日から9月2日までの期間のみのようです。これから行く人は要注意。
ほかに印象に残ったのは、1945年の沖縄戦により琉球の文化が大きな被害を受けたことがわかったこと。美術品は戦禍により失われ、戦前に撮影された白黒写真しか残っていないケースも多く、なんとも残念。会場には、琉球王国の記憶を伝える写真や調査ノートの展示もあり、あらためて沖縄戦の戦禍について考えさせれます。
沖縄は現在なお揺れているようですが、世俗的な話題はいったん措いて、いっとき琉球王国の時代に思いを馳せてみるのもいいでしょう。