先日、お茶の水女子大学が記者会見を開き、「多様性を包摂する」として2020年度の学部・大学院の入学者から「トランスジェンダー」の学生を受け入れることを発表した。
お茶女は受け入れ基準を明確にしていないが、「心が女性」ならば男性学生を受け入れるということだろうか。そのうち学内でトラブルが起きそうだが、そうなれば問題提起として面白いことになりそうだ。
ただし私は、「トランスジェンダー」の学生を受け入れの是非を議論する以前に、国公立大学はすべて共学でなければ理屈に合わないと考えている。しかし、お茶女は今回の会見でも「共学化の予定はない」ときっぱり言い切っている。
以前、「国公立の女子大は憲法違反なのか」という記事を書いた。福岡女子大による男性入学拒否をめぐり、これは「法の下の平等をうたう憲法14条に反する」という違憲訴訟だった。
もちろん国公立の女子大が違憲だという憲法判断が出たわけではないが、建学の理念に基づく私立学校ならともかく、国公立大学で男子学生を拒むのは明らかに無理があると思われる。女子大でなければいけない理由を説明するのはむずかしいだろう。今回の記者会見でもマスコミはそこを突っ込んでほしかった。
さらに首都圏の受験生にとっても、都心に立地するフツーの国立大学は貴重である。私は一時期理学部への進学を考えていたことがあった。東大、東工大の超難関校は全国から秀才が集まるので凡庸な受験生には手が届かない。
そこで、それ以外で理学系を専攻できる国公立大をさがすと、千葉大、埼玉大、横浜市立大、都立大ぐらいしかなかった。あの立地の理学部を女子だけで専有しているのはけしからんと思った記憶がある。
お茶女は「トランスジェンダー」の学生を受け入れるなどと、ドヤ顔で記者会見している余裕があるのなら、フツーの男子受験生のために来年から共学化してほしい。とくにお茶の水女子大学や奈良女子大学のような国立の女子大は、戦後の学制改革で旧帝大をはじめとする有力大学が女子の受け入れを始めた時点で、廃止もしくは共学化するのが当然の流れだったはずだ。
文部科学省もそのあたりをよく考えてほしい。