文部科学省は、学生の都市部への過度の集中を避けるために厳格化していた私立大の入学定員の基準を、来春入試から緩和する方向で変更する方針を決めた。
入学定員の厳格化の当初の目的は、「学生の都市部への集中を避ける」ということだった。しかし、この「厳格化」によって大学が追加合格を小出しにして入学者数を調整しようとしたため思わぬ副作用が出ている。
受験生が入試を終えて、すでにある大学に進学を決めて準備をしていたのにかかわらず、3月下旬になって志望順位の高い大学から突然追加合格を得るというも珍しくないという。この時点で進学先を変更すると、入学金が二重に払うだけでなく、自宅から通学する場合はまだしも、進学先に合わせてアパートを契約した場合にはかなりの出費になる。
その受験生に入学辞退される大学もたまったものではない。経営を考えれば、欠員を補充するために追加合格を出す必要があるかもしれないので、追加合格の玉突きが起こることになる。
この厳格化により都市部の緩和が実際に防げたのかどうかという点には記事は直接言及していないが、そもそも都市部への集中を避けるために入学定員の厳格化が効果があるとは思えない。定員が絞られたため入試選抜が急激に難化したのはまちがいないが、あぶれた受験生は下位の大学にそのまま流れるだけじゃないかと想像する。
方針転換するなら、まずこれまでの成果を総括してからにしてほしいものである。
また、これとは別に都心部の大学の定員増加が制限されるという異常事態もつづいている。この政策もいろいろおかしいと思うが、いずれ総括されるときがくるのであろうか。やれやれ。