新文芸坐で開催中の《CD「追憶」発売記念&梶芽衣子著「真実」刊行記念 梶芽衣子映画祭》で、映画『修羅雪姫』(1973年、藤田敏八監督)を鑑賞。小池一雄&上村一夫コンビによる同名劇画の映画化。東映映画。『修羅雪姫 怨み恋歌』との二本立て。
時代は明治初期。獄中で生まれた鹿嶋雪(梶芽衣子)は、家族たちを殺した四人組(岡田英次・地井武男・中原早苗・仲谷昇)に対して激しい恨みを抱く。元旗本の僧侶・道海(西村晃)に剣術を仕込まれた雪が、四人組をひとりずつ見つけて仇を討っていく姿を描く復讐譚。
「まるで漫画だ」といいたくなる荒唐無稽な話を映像化してもなぜか許せてしまう不思議な映画。セットの様式美もさることながら梶芽衣子がとても綺麗に撮られているのが最大の美点。キャスティングの勝利か。「さそり」より「修羅雪姫」が断然いい。
全編劇画のようだが、とくに西村晃が雪に剣術を鍛えるシーンが笑える。雪を樽に入れて坂から蹴り落としたり、池に突き落としたり、服だけ切って全裸に剥いたり、激しい修行シーンが繰り広げられる。なお修行の場面は梶さんではなく子役が演じています。
白い衣装に鮮血という様式美を狙っているのか、殺陣での出血が凄まじいので血が苦手な人は見ないほうがいいかもしれない。とくに追い詰められて首を吊ったおこの(中原早苗)を、そのまま胴を斬って真二つにするシーンがすごい。出血の量もすごい。
まあ細かいことを気にするとキリがないトンデモ映画だが、様式美を追求して娯楽映画に徹した潔さはある。これはタランティーノが惚れ込んで『キル・ビル』でオマージュを捧げたのも納得です。