退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

『わるいやつら』(1980)

先週、東劇で松本清張の特集上映で「わるいやつら」(1980年、野村芳太郎)を観た。松本清張の同名小説の映画化。

わるいやつら [DVD]

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総合病院の二代目院長(片岡孝夫)は、妻と別居中で離婚を画策している一方で、愛人を何人も囲う女たらし。そんな彼が、さらに上手の悪女に翻弄され転落していく様を描く。前半はやや退屈なのだが、中盤以降、俄然面白くなりそこそこ楽しめる。未読だが、おそらく原作が優れているのだろう。

女たらしの主人公を演じる片岡孝夫は適役。大きなサングラスが時代を感じさせる。犯罪が露見したあと、有罪が確定し連絡船で網走刑務所に送られるシーンで、サングラスを外し、髪を短くした姿は、往年のあたり役・眠狂四郎を想起させる。

注目すべきは多彩な女優陣。なかでも松坂慶子梶芽衣子の美しさが傑出している。ただ「一番の悪女」の松坂慶子はやや薄い気もする。悪そうに見えない女が、いちばんのワルだったという演出なのかもしれないが…。まあ、私が院長なら婦長役の宮下順子の色香に身を任せたい。

しかし医師なのに、死亡確認をできないなんて情けない。劇中、院長が外来で診療するシーンもあったが、こういうヤブには診てもらいたくないなあ。