退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

「1973『日本沈没』完全資料集成 」で思ったこと

70年代日本パニック映画の金字塔『日本映画』(1973年、監督:森谷司郎)という映画があった。

小松左京のベストセラー小説を、当時5億円の巨費を投じて映画化し、社会現象と言われるほどの記録的なヒットとなった作品だ。この本は、初公開を含む写真と資料を集成して、この映画の魅力を明らかにする。

1973「日本沈没」完全資料集成 (映画秘宝COLLECTION)

1973「日本沈没」完全資料集成 (映画秘宝COLLECTION)

  • 発売日: 2018/03/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

大型本で質と量ともに資料的価値はあると思うが、なぜいまさら「日本沈没」なのだろう。関係者のインタビューも載っているが、公開からおよそ45年経っているため主なスタッフと出演者はすでに他界している。

原作者の小松左京や監督の森谷司郎もいないし、田所博士役の小林桂樹や山本首相役の丹波哲郎もいない。これが映画秘宝ではなくて、キネマ旬報であれば往時のインタビュー記事を転載できるのだが……。やはり資料集をつくる時期を逸したのは否めない。

それでも主演の藤岡弘、や撮影の木村大作のインタビュー、そして何より特技監督中野昭慶日本沈没について語っているのは貴重である。それらを書籍として記録できたのは僥倖というべきだろうか。

ミニチュアを使った特撮技術がすっかり旧時代の技術となり、映像技術の進歩は目を見張るものがある。しかし、それだけで映画が面白くなるわけでもないことも確かである。少し前に同じく小松左京原作の映画『復活の日』をみたが、あらためて小松左京の世界のスケールが大きいことに驚く。

いまの映像技術で小松左京作品を映像化したらどうなるだろうと思わずにはいられない。


日本沈没(1973)予告編

また個人的には特撮関連の資料も見逃せないが、いしだあゆみのスチールが何点か載っていたのがうれしかった。なかでもいしだあゆみのスレンダーなビキニ姿(水着のスタイルは古い!)が1ページどーんと掲載されていたのがよかった。白黒なのが惜しい。

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