退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

オールナイト「晩秋の東宝スペクタクルまつり」@新文芸坐

新文芸坐の《スーパーSF日本特撮映画大会 晩秋の東宝スペクタクルまつり》というオールナイト上映を見てきました。上映作品は次の4本。

  1. 妖星ゴラス(1962年、監督:本多猪四郎
  2. 海底軍艦(1963 年、監督:本多猪四郎
  3. 宇宙大戦争(1959年、監督:本多猪四郎
  4. 世界大戦争(1961年、監督:松林宗恵

いずれの作品も円谷英二特技監督を務めており、当時の特撮技術を堪能できるラインアップでした。東宝はいわゆる戦記映画や怪獣映画でも特撮映画を残していますが、それを別にすると4本も東宝特撮映画を代表する作品といえるでしょう。

妖星ゴラス(1962年)

謎の大質量の天体ゴラスと地球との衝突を回避するために、地球の公転軌道を変えるという奇想天外なストーリー

衝突を回避するには2つの方法しかない。ひとつはゴラスを破壊する、もう一つは地球がゴラスを避けるという2つだ。アメリカ映画ならゴラスを破壊するという映画になるだろうが、本作では地球を動かすという発想がすばらしい。実際、物理学者による科学的検証も行われたという。

特撮での見どころは、地球の軌道を変えるために南極に設置される巨大ロケット推進装置。建設工事のシーンがすばらしい。またお約束の怪獣も登場する。「ウルトラマン」のビートルに似たVTOL機が怪獣を倒すシーンにも注目したい。

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海底軍艦(1963 年)

旧日本海軍の残党が建造した海底軍艦轟天号が、地球征服を企むムウ大陸をフルボッコにする映画。海底軍艦というが潜水艦というわけではなく、空を飛んだり、艦首のドリルで地中に進んだりなんでもありの万能戦艦。

見どころはもちろん轟天号の活躍なのだが、ドリル部から発射される主兵装の冷線砲がしょぼい。もっとカッコイイ兵装はなかったのか。「轟天号」は、その後、「ゴジラシリーズ」などの東宝映画に度々登場するので、追いかけてみるも楽しいだろう。

海底軍艦  [東宝DVD名作セレクション]

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  • 発売日: 2015/07/15
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宇宙大戦争(1959年)

地球が異星人の侵略を受けて、地球の調査隊が月面基地にある異星人の前進基地を攻略する特撮シーンが見どころ。映画が制作されたのは、1969年にアポロ11号が月面に着陸するよりずっと前なのがポイント。重力が小さいとされる月面を役者たちが歩くシーンが面白い。

結局、月面基地攻略は失敗して全面戦争になるが地球側があっさり勝利する。科学力が圧倒的に違うはずなのにと思うのだがまあいいだろう。

宇宙大戦争 [東宝DVDシネマファンクラブ]

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  • 出版社/メーカー: 東宝
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世界大戦争(1961年)

上記の3作とは趣の違った東西冷戦の世相を反映した反戦映画。米ソ対立を描いているは明らかであるが、映画では具体的な国名は示されずに架空の国になっている。

この2つの陣営で勃発した世界最終戦争を、フランキー堺の一家などの市井の人たちを通して描く人間ドラマを中心に据えた映画になっている。宝田明と星由里子の若いカップルも初々しい。人類が滅亡するとき誰と居たいかというのは繰り返し用いられるテーマでもある。

見どころは核兵器で世界の主要都市が壊滅するシーン。CGを使わずにこれだけの表現ができるのは驚きである。一見の価値がある。ただ核ミサイルの発射ボタンがショボイなど、美術ももう少し頑張ってほしかった。

世界大戦争 [東宝DVDシネマファンクラブ]

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まとめ

この類の映画は今はなき銀座シネパトスでよく上映されていて通ったものですが、そこはお世辞にも上映環境はよくありませんでした。今回、60年代の東宝特撮映画を大きなスクリーンで見れるのは貴重な機会でした。今後は怪獣映画も観たいですね。

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