退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『ピラニア軍団 ダボシャツの天』(1977) / 竹田かほりの映画デビュー作

シネマヴェーラ渋谷の《名脇列伝III ピラニア軍団・役者稼業》で映画『ピラニア軍団 ダボシャツの天』(1977年、山下耕作監督)を鑑賞。原作は政岡としやのコミック「ダボシャツの天」。主演は川谷拓三。東映京都撮影所の大部屋俳優が結成した「ピラニア会」のメンバーも総出演している。

大阪通天閣を舞台に、立派な極道になろうと奮闘するダボシャツの天(川谷拓三)の活躍を描いた任侠喜劇。「天」というのが、通天閣のように天にまっすぐ伸びる男になるようにと母親がつけてくれた名前ということもあり、やたらと背景に通天閣が映っているのが可笑しい。

主演の川谷(拓ボン)が、男気に溢れて度胸もあるが、ちょっぴり間の抜けたチンピラを演じるのは想定内だったが、意外だったの天が兄貴を慕う、むかでの錦三を演じた夏八木勲の弾けっぷり。三枚目を見事に演じきっている。

立ち回り中に雷に打たれて、顔はススだらけになり髪の毛が逆立っている姿はコントのようだ。重厚でシリアスなイメージからは想像できないコメディアンぶりを発揮している貴重な作品。東京出身なのに大阪弁も堂に入っている。

また本作は、翌年にっかつ『桃尻娘シリーズ』で人気を博した竹田かほりの映画デビュー作でもあり、新人とクレジットされている。初々しい演技が人目を引く。川谷との恋愛関係も微笑ましい。ただし本作では下着姿どまりで脱いでないので要注意。


ピラニア軍団 ダボシャツの天 DVD発売【告知】

東映が、スターが出演しなくて面白い映画を撮れることを示した任侠喜劇の佳作。しかし当時興行的には振るわず「ダボシャツの天」はシリーズ化されずにおわる。貴重な拓ボンの勇姿にみんなで見よう!

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