俳優の大杉漣さんが21日、急性心不全のため急死した。66歳だった。
私は、昔の日本映画が好きなのでスタッフや俳優などの映画関係者の訃報には慣れているつもりだったが、この知らせには本当に驚いた。売れっ子の名バイプレーヤーとしてバリバリの現役だと思っていたからだ。あまりに急だった。
さらにこの悲報を聞く前に、IMAX2Dで『シン・ゴジラ』(2016年)を観たことも驚きに拍車をかけた。さっきまでスクリーンにいたのに……。もちろん錯覚だと言われればそうなのだのだが、それでもショックだった。
大杉さんのフィルモグラフィーを見ると、ありえないほど膨大な数の映像作品に出演しているが、いわゆる"遅咲き"だったことがわかる。ポルノ映画でキャリアを始めて、Vシネマなどの下積みを経て今の地位を確立した苦労人だ。
転機は北野武監督の『ソナチネ』(1993年)あたりだろうか。その後の活躍は周知の通りである。大袈裟ではなく見かけない日がないほどの活躍だった。
いずれ名画座で追悼企画が上映されるだろうが、どの作品を選んだらよいのか分からないほど出演作は多い。北野監督作品ははずせないだろうが、上で書いたような事情のせいもあるが私の中では『シン・ゴジラ』の総理大臣役がいちばん印象に残っている。
こうした急死の報を聞いていつも思うのは、「人生、何があるかわからない」ということ。だからこそ無為に過ごしていてはいけない、と似合わないことをを考えてみる。