会期ぎりぎりで東京都美術館で開催中の「ティツィアーノとヴェネツィア派」展に行ってきました。昨年から都内では日伊国交樹立150年を記念したイタリア美術の展覧会が数多く開催されてきましたが、本展がラストになるでしょうか。
展示室の入り口にヴェネツィアを俯瞰する衛星写真がどーんと登場して意表を突かれます。ヴェネツィアは、15世紀から16世紀にかけて海洋交易により繁栄し、国際都市として発展を遂げるなか、美術の黄金期を迎えます。いつの時代も経済的に発展しないと文化の蓄積もありえないということでしょう。
本展は、ヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノ(1488/90 - 1576)を中心にヴェネツィア・ルネサンス美術の魅力を紹介しています。そのなかのヴェネツィア派とフィレンツェ派とのライバル関係だったというあたりが面白い。
見どころは、やはりティツィアーノ作の《フローラ》、《ダナエ》ですね。《フローラ》はチケットやポスターに使われていました。《ダナエ》では、上から降ってきている金の雨が実は「金貨」だったのはは初めて知りました。
また珍しいところでは、順路の冒頭に展示されていた中世からルネサンスに変遷する時代の絵画が興味深かったです。中世絵画は地味なので企画展で紹介されることは稀でしょうが、一度体系的に勉強してみたい分野です。