退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

コミック『はいからさんが通る』を読んでみた

年末、神保町で南野陽子主演の映画『はいからさんが通る』(1987年)を見たあと、無性に大和和紀の原作コミックを読み直してみたくなった。主に大正時代を舞台にしたラブストーリーを描いた少女漫画。シベリア出兵を経て、波乱万丈の末、関東大震災の後大団円というハッピーエンドというベタなストーリーもいまとなっては清々しい。

手にしたのは年代物の「講談社コミックフレンド」全8巻。本編は第7巻の途中までで完結。その他は番外編と著者の別の作品が掲載されていた。

少女漫画の金字塔というと言い過ぎかもしれないが、大ヒット作なのであらためて語ることもない。ノスタルジーに浸りつつ当時の少女漫画の雰囲気を味わうとよいだろう。当時のサブカルチャーを題材にしたギャグが妙に懐かしい。おっさんホイホイ。ファンレターに応える「作者からの一方的なお返事コーナー」も楽しい。

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ただ子ども向けの少女漫画に要求しても仕方ないのかもしれないが、シベリア出兵が日本政府の大失策であったなど歴史的解釈をきちんと盛り込んでほしかった……。おっと野暮なことを書いてしまった。

さて、この「はいからさんが通る」が前後編で劇場アニメ化されるらしい。ヒロイン・花村紅緒の声は早見沙織さん。はたして40年前の少女漫画をアニメ化して需要はあるのだろうか。今風にアレンジされてひどいことにならなければいいが。ちと心配。
haikarasan.net

ちなみに1978年に放送されたテレビ版アニメは途中で打ち切られて完結できずに頓挫している。原作者は大いに不満だったろうが、「宇宙戦艦ヤマト」も「機動戦士ガンダム」も打ち切られているのでアニメ業界はそんなものなのだろう。今回は劇場版で大団円までを描いたアニメ映画がつくられるのはうれしい。期待したい。